1993年のある日、ルイーズとの国際電話での会話は、彼女の1955年式2CVの話題になっていました。まだ誰か買ってくれる人を探しているらしい・・・。 「私の1955年式2CV、12000ポンドで日本のだれか買わないかなあ・・・・・?」
「極上のコンディションなのは知っているけど、高すぎて誰も買えないと思うよ」と私。
「10000ポンド位になら値引きしてもイイけど・・・」とルイーズ嬢。
「少し値引きしても、日本では誰も買わないと思う。大幅値引きじゃないと無理じゃないかな。大幅値引きだったら、人に紹介しないで自分で買っちゃうかもネ!」 「ホント!?貴方が買うんなら、大幅値引きしてあげる!いくらだったらイイ??」
冗談のつもりだったのに・・・・・この一言が全ての始まりでした。 本当に安い価格だったら、極上コンディションの古い2CVを手に入れる滅多にない機会でしたが、なにぶん購入資金がありませんでした。 手元の2CVを売却すれば、なんとか頭金くらいは用意できるかもしれない状況でしたが、自分の2CVを売却するつもりは全くありませんでした。 当時、新車から乗っていた1982年式(1983年登録)2CV/6チャールストン、1968年式植民地仕様2CV・425cc(AZA)を所有していていました。 それ以外に、友人宅に1986年式2CV/6・CLUB(事故車)、1966年式植民地仕様2CV・425cc(AZA)を預かってもらっている状況で、すでに2CVだけ4台所有している状況だったのです。 もう1台2CVを購入する余裕なんて、ありません。 特に新車から乗っていた1982年式チャールストンは、学生時代に無理して新車で購入し、バイトで車両代金を返済し、メンテナンスもいろいろな人から教わりながら自分なりに試行錯誤しながら整備してきた2CVでしたので、愛着がありました。
「ルイーズには悪いけど、あきらめてもらおう!」そう決めました。 「1955年式でフルレストア済み極上コンディション、自分の持っている4台の2CVを全て売却して購入するとしても、8000ポンド(当時の相場で180万くらい)が上限かな。それ以上は無理!」とホントの事を伝えました。 「8000ポンドねえ・・・・価格の件はあとで手紙で伝えるわ・・・・」と声に元気がなく、気が進まないようすがこちらにも伝わってきました。 私自身も手元の2CVを売却するつもりは全くありませんでしたので、彼女には気の毒でしたが、諦めてもらう事になりそうです。 それからしばらく経ったある日、ルイーズから手紙が来ました。価格の件です。 「いろいろ悩んだけど、やっぱり8000ポンドではお譲りできません。ごめんなさい・・・」私は確信していました。 手紙には、「いろいろ悩んだけど、7500ポンドで貴方にお譲りします。大事にしてね!」の文字が・・・・・・エッッ?? これで外堀は埋ちゃいました。 ついに彼女の1955年式2CVの購入を断る口実が無くなった・・・・・・! |