TPV専用エンジンの設計が本格化していく。 トラクション・アバンのエンジン・デザイナー、モーリス・センチュラ の指揮で、375cc・"水冷"水平対向2気筒エンジンが完成した。
11CV用ラジエーターを流用した、この水冷エンジンを搭載した事に よって、プロトタイプ群は、どれも今日の2CVよりもずっと自動車らし い形をしたアルミボディが架装されていた。 1937年末、クレルモン・フェランにあるミシュランの工場で20台の TPVプロトタイプが製作され、それまでパリ郊外にある、ボア・ドゥ・ ムードンという町でテストを行ってきた。 しかし、機密保持が困難になったため、パリから100km以内の場所にテストコース用地を確保する必要に迫られた。 パリの西地区、ユール・エ・ロワール郊外の小さな村ラ・フェルテ・ヴィダム(La FerteVidame)の城壁の残る城跡地を用地として確保した。 1938年3月、テストコースが完成し、TPVプロトタイプ群が運び込まれた。 しかし、そのほとんどがシャーシに間に合わせのシートを載せただけだったので、テスト・ドライバーには、凍死から守る防寒用として、パイロット用フライングスーツが支給された。 すべては順調に進んでいたが、サスペンション・システムはまだ最終決定されていなかった。やがてシトロエンは、タイロッドで前後を関連させたトーションバーサスペンションをTPVに搭載した。 |