Vol.4 道路運送車両の保安基準のページにて、中古輸入車を陸運局で登録する場合、その車が現地で生産された年の日本の保安基準に適合していればよい、という事を書きました。
ただしこの場合には、年式を証明する”証拠”が必要になります。 ”年式を証明する証拠”が無いと、通関した日にちがその車の年式とされてしまいます。 年式が記入されている現地での車検証は、”年式を証明する証拠”として通用しますので、紛失しないように注意がが必要です。 私にとってイギリスの車検証は1955年式と記入されてある重要書類でしたので、売り主であるルイーズには車検証(本証)は2CVと一緒に船積みしないで、書留の航空郵便で送ってくれるように前もって依頼しておきました。 ルイーズの2CVがイギリスを出航する時に、荷主であるルイーズの友人(実際は彼の会社)から、INVOICE(インボイス=出荷品目の明細書)のコピーを前もってFAXでもらっておきました。 ルイーズは「スペアパーツもある」と言っていましたが、FAXで送られてきた明細を見て、大量にあると事を初めて知りました。 ダイナモ・コア、オイルクーラー、スピードメーター、グリルのシェブロン15枚、アクセル・ペダル、ドアノブ・・・・・・スペアパーツのリストのINVOICEだけで3通も。 どれも日本では入手困難なパーツばかりで、私にとっては嬉しい誤算(?)でした。 私はスペアパーツのリストのINVOICEを見て浮かれてばかりはいられませんでした。 2CVが日本に入港する日が近づくにつれ、毎週のように台風が日本にやって来ました。 1993年の夏は、記録的な長雨・冷夏、しかも台風の”当たり年”で、週末は必ず台風が日本に近づいて来ていました。 船の入港の遅れもさることながら、「コンテナが台風のせいでひっくり返っていたらどうしよう」「船が沈没したらどうしよう」などと、余計な心配ばかりしていました。 さらにそれより心配だったのは、Bill of Lading(通称・B/L)という船荷証券が私の手元に届いていない事でした。 船荷証券は、その船荷証券(B/L)所有者に貨物を引き渡すことを約束した引換証で、これは貨物(今回は2CVのコンテナ)が出航した際、船会社が発行、荷主(ルイーズ)に渡し、その荷主(ルイーズ)が荷受人(私)に送付する、引換証(有価証券)で、このB/Lが無いと荷物の受け取りはもちろん、通関もできません。 海外から中古車を直接個人輸入する場合、車検証とB/Lを現地オーナー(売り主)が不慣れなために送り忘れるケースが多いそうです。 なんだか心配です。 ルイーズに船の日本入港が近づいているのに、B/Lがまだ届いていない旨を伝えました。
「ごめんなさい!送るのを忘れていた!」との事。 なんですと! 大至急、航空郵便でB/Lを送ってもらう事にしました。 ルイーズからB/Lを受け取った日と同じ8月29日、1通の見慣れない封書が届きました。 差出人は”デムコマリタイム社”から。横浜の消印です。
初めて聞く名前で、心当たりも無かったので「なんだろう?」と思いながら封を切ると、それは、”ARRIVAL NOTICE / DEBIT NOTE” でした。 これは貨物の到着案内の通知書で、それによると、「8月31日に横浜港に入港、東京港に回送する」という内容でした。 さらに「通関業者をお知らせください」との事でした。
この時、初めて横浜港〜東京港間の回送は別料金で、支払った船便代金には含まれない事を知りました。 |